ちょっと、俺

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元弊社

今はもう元弊社の人とやりとりもないので現状は知らないけれど、最近の情勢を見て「苦労してるんだろうな」となんとなく勝手に思っている。俺の想像の上で書いているフィクションです。もしかしたらウハウハかもしれない。

円安

輸入商社みたいな仕事をして、自動車メーカーと商売していたので、円安の今は多分かなりきつい。

通常流れている治工具なんかは1ドル80円くらいをベースに値段決めた商品もあるので、値上げ交渉とか苦労しているだろうな。買い叩くのが購買文化の日系の自動車メーカーと渡り合うの、一筋縄ではいってないだろうな。

設備は一台100万ドル前後なので、2年前なら1.1億円だった設備も、今は1.4億を超えてくるから、為替による値上がりからくる受注減も日本法人は避けられないだろうな。

治工具なんかは「前年の売り上げから翌年の売り上げを見越して11月頃から銀行と相談しながら翌年の為替予約を取る」なんていうスマートなことはせずに「為替の動きを見ながら一番安そうなタイミングで向こう1年〜2年の予約を取る」というやり方をしていたので、予約のタイミングをミスった時の打撃は半端じゃない。

為替予約を取るかどうかも会社にルールはないしファイナンスの人が為替予約を取るのではなくて「営業の匙加減」で決まっているので、為替予約を取るかどうかも人によってまちまちだ。為替が逆風の中では利益を確定させるのが非常に難しい運営の仕方をしていたなと、今更ながら思う。

日野自動車

日野自動車が不正を暴かれまくって、経営にかなり影響するんじゃないかと思っている。最大の取引先が日野自動車だったので、すでに傾き始めている日野自動車からの打撃は半端じゃないだろう。日野自動車は輸出が多いとはいえ、国内市場で勝てない製品が海外でも勝てるとは思っていないので、少しずつ売り上げが減っていくんじゃないかと勝手に予測している。日野自動車の受注減=会社の受注減であることは間違いない。

日野自動車一社に完全に依存しているわけではないけれど、売上の大部分を占めていたのは間違いなくて、それをカバーできるような状況でもない。乗用車の電動化も追い討ちをかけにきているし、革新的な次の一手も打てないでいる。

半導体不足

工作機械メーカーなので、半導体不足の影響はモロに受けているだろう。一昔前なら別だけれど、今時の工作機械は半導体の塊だ。半導体が手に入らない=機械が作れない=機械の出荷台数が伸ばせない=売上も上がりにくいという負のスパイラルに入りやすい状況になっている。通常時でも納期1年とかかかる機械なので、もともと長い納期が伸びれば受注もしにくくなってしまう。長納期+円安のダブルパンチできついなんていうもんじゃない。

輸入品の商売に思う

輸入品は為替や地政学的なリスクを現地法人や商社が背負い込んでいるので値段がある程度高くなるのは仕方ないんだと思う。この辺を容認できないんだったら輸入機なんて買うべきじゃないし、輸入の仕事をしている人もこの辺を理解して商売するべきだと思う。こういう考え方とか合意を全社でどうやってうまく作り上げて、会社を運営していくのかは経営者の腕の見せ所だと思う。多分、日本法人の創業者はそういうの全部理解して織り込んでいたと思うんだけれど、後世に継承されているかというと正直微妙だと思う。

平成元年(1989年)に創業した会社でその時の為替レートは145円前後だったから今(2022年9月)とそれほど変わらない。それでも利益が出るような商売ができて、業界内でも「高い」と言われる従業員の給料を支えていたので、利益が出る企業の体制をうまく作ることができていたんだろうと思う。

組織から余裕がなくなっていく

俺が2012年に入社して2019年に辞めるまでの7年の間に感じたことは「組織からだんだん余裕がなくなっていく」というところだった。何をどこでどう間違えたのかわからない。給料も残業代もきちんと出るし、社用車も3年〜5年で新車になるし、会社の金で焼肉にもいくし銀座で朝まで飲んだりもした。

そういう行動の一つ一つは変わらないんだけれど、少しずつ会社が窮屈に感じていったのは間違い無くて、俺は最後には耐えられなくてやめてしまった。「余裕がないな」とか「ゆとりがないな」と感じたのは、マネジメントの仕方だったり、人への接し方、会社の雰囲気とかで、それがどうやって醸成されていったのかというのは全ては読み解けていないんだけどね。

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円安、半導体不足、コロナウイルス、日野自動車の不正による減産、自動車の電動化とか、会社に吹く逆風は強いけれど、それでも会社を安定飛行させていくのは大変なことと思うし、そういう中でも安定飛行させていくのが経営者を筆頭としたマネジメントの手腕だと思っている。

コロナショックの時に何人かの首を切ったと聞いているのだけれど、ここへきて次に打てる手は子会社の切り離し、更なるリストラ、事業の小規模化、東京の本社移転(もっと安くて便利なところ)とかで、攻めの一手は打てないんじゃないかと思っている。

「やめてよかった」と自分を正当化したい

2019年の5月に会社行けなくなったので、やめてから3年以上経った。同僚に会うことも連絡することももうないけれど、たまにHPを見たりすると経営者が変わっていたり、展示会に相変わらず出展したりしているらしい。短い期間でも自分が所属していた組織なのでこれからも存続してほしいと思っているけれど、俺自身は「やめてよかった」以外の言葉を見つけることができないでいる。

今年もJIMTOFがある、若者や東京本社の人が命を削って参加するイベントだ。あれをやらないで良くなっただけで、本当にやめてよかったと思っている。それくらい辛く、苦しいイベントだった。

おしまい