兄弟とは金の話をするべきじゃないと思った話、事情は家庭それぞれなんだけれど、少なくとも俺の場合は兄弟とは金の話はするべきじゃないよなと思っている。
兄:俺より二歳年上、既婚、子一人。2021年末に当時勤めていた会社を退職して、北海道から埼玉へと引っ越してきた。2019年に多重債務であることがわかり、父親からは絶縁され、いくつかのゴタゴタを経て2022年の春を最後に俺も連絡を絶っている。経済的には完全にぶっ壊れている。
弟:俺より五歳年下、独身、仙台在住。大学卒業に失敗し中退、勤め先の会社で本部長だった父親のコネで仙台市内の中小企業に入社して、十年以上勤めている。最近(2024年秋)会社が税金対策で建てた社宅に引っ越すらしく、引っ越しをすることになったらしく、十年以上社会人をやっていて「引っ越し代がない」ということが発覚。こっちもこっちで経済的にはぶっ壊れている。
俺:1985年生まれの39歳(2024年)。既婚、二人の子持ち、東京在住。大学卒業後一年程プラプラしてから静岡県内の中小企業に就職、その後何度かの転職を経て都内の外資系企業に勤めている。住宅ローン(4,500万)以外の借金なし、必要になれば大型家電くらいなら迷わず買えるくらいの経済力。
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弟が引っ越し代が足りないとか言っているのに対して、母は呑気に「引っ越し代が足りないかもしれないのよ」とか言っているが、三十も過ぎたおっさんが引っ越し代足りないなんて話にならないとしか俺は思っていない。
弟の月の給料が二十万円、ボーナスが四ヶ月で八十万円、それで年収三百万円だったとしても、毎月一万円くらいはお金貯められると思っているんだけれど、弟は宵越しの金は持たないタイプらしい。
おそらく給料はもうちょっともらっている。
何に金を使っているのか知らないけれど、友達との旅行、キャンプ、風俗、ギャンブルあたりでお金が溶けていっているのだろうと予想している。できれば結婚して落ち着いて、友達とのキャンプとか旅行もほどほどにしてもらえればいいと思っているんだが、それは弟にとっては大きなお世話でいちいちそんなこと言われたくないのは百も承知だ。
だから、何も言わないし、話し合いも持たない。
兄は音信不通なのでどんな生活をしているのかすらわからない。
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数年前に家を買うことを決めて、今後の人生に起こることとか、お金のこととか考え直した時に、おそらく親の葬式は全額俺が出すんだろうなと思ったんだが、俺のその見通しに変化はないと思っているし、これからその見通しが変わることもないと思っている。
弟が結婚して子供できたりすれば別だけれど、その可能性もあまり高くなさそうだ。兄は結婚して子供がいるけれど、借金は雪だるまのように膨らんだので、相手を間違えると負債ばっかり膨らんでしまうことになるので、簡単に結婚を推すことができないという事情もある。兄嫁と兄の借金を合わせると結婚時に五百万以上あったという話を聞いたことあるし。
兄と弟に支払い能力がなくても、親の葬式代くらいなら俺一人でなんとかできるんだけれど、相続関連のゴタゴタ、兄弟の相続放棄とかが発生すると、おそらく俺も解決能力が足りない気がしている。
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本当は兄弟としっかり金の話をして、親の葬式、法事、相続、墓のことについて話し合っておかないといけないんだけれど、俺の兄弟は二人残念ながらそういうのを話せる状況にはないらしい。時々「兄弟とは?」みたいに感じることがある。
終わり