人間はいつ本気でゴリゴリ働けなくなるのか本当にわからないというのを、改めて実感することが最近いくつかあった。
同僚が交通事故に遭った
3年くらい前の話だけれど、同僚が交通事故に遭った。夜に横断歩道を渡っていたところ、猛スピードで左折してきた車に轢かれたらしい。半年近く生死の境を彷徨い復活、リハビリを経たが脳機能に障害が残ったため、これまで通りの仕事ができなくなったため、障害者枠で再雇用され今は部品のピックアップや倉庫作業などをしている。
エンジニアとしてこれから頑張っていくところだったのに、バリバリ働くことは結局できなくなってしまった。
彼は不幸に遭ってしまったが、会社は彼を見捨てることなく、空いた枠に障害者枠で滑り込ませ、継続して雇用し続けるという姿を見せてくれたのは本当に良かったし、その決断を下したマネージャーのこれ以上にないファインプレイだと今でも思っている。
上役の奥さんが亡くなった
数日前、同じ部署内で上席の先輩の奥さんが亡くなったと社内メールが回ってきた。その人の奥さんは俺と同郷の宮城県出身で、時々先輩が奥さんから仕入れてくる宮城県や仙台の話を俺に披露してくれていた。奥さんとはお会いしたことはなかったが、知らせを聞いて大変に驚いている。
先輩は五十そこそこだけれど、結婚も子供ができるのも遅かったようで、子供はまだ小学校高学年と小さかったと記憶している。
先輩は出張の多い仕事をしていて、北は北海道から西は神戸のあたりまで、一ヶ月の半分くらいは出張している。全国展開している会社を担当しているマネージャーという職位についているが、お母さんを亡くした小さい子を連れてできる仕事かと言われると、答えは限りなくNOに近くて、今の職位から降りる可能性もかなり高いと思っている。先輩のご両親が健在だったとしても、母親を亡くした子供にとっては父親しか残っていないので、俺が同じ立場にいたとしたらおそらく今の職位は手放すと思う。
先輩には先輩の考え方や家族との関係もあるので、先輩がどのような判断を下すのかはまだ何もわからないでいる。
俺の心臓に病気が見つかった
痔の手術の事前検査で心臓に異常が見つかった。
まだ確定の診断は出ていないのだけれど、心臓が本当に悪く治療が必要な場合:
痔よりも心臓の治療を優先させる、
若い人にはあんまり出ない病気なのできちんと検査した方が良い、
痔になって心臓の病気が見つかってよかった、
ということらしいので、事態はまぁまぁ深刻なのかなと思っている。
仕事にも影響が出るかもしれないし、生活にも何かしらの制限が発生するかもしれない、今のようなペースで働くことはできなくなるかもしれない。日本全国へ出張して、繁忙期は土日もなく働く、なんていうのはできなくなるかもしれない(土日もなく働くのはやめろと今でも上司には言われている)。
ここで心臓の治療は不要と判断されても、定期的な検査と通院は必要になるので、少しだけペースダウンする必要が出てくるかもしれない。というので、俺の人生も全てがうまく、思い通りに進むわけでもないし、「本気で働けなくなる」日が俺の目の前にも迫ってきている。
一寸先は闇
時々、今妻が死んだらどうしようとか考えることもある。今の仕事(月の1/3くらい出張)を継続しながら子供を二人育てるのが無理なのはわかりきっているので、今の会社に残れるのなら静岡の工場への転勤を希望するし、ポストに空きがなかったらおそらく今の会社を辞めて実家のある仙台に帰ると思っている。電車通勤と子育ての相性が悪すぎるので「東京に残る」という選択肢はおそらく存在しない。
妻が死ぬ前に俺が死にそうなんだけれど、さ。
いつゴリゴリ働けなくなるかなんて誰にもわからない
これは昔産休や育休を長期間にわたって取得する人を批判する風潮が出てきた時に、インターネットの深淵から出てきた小さな反論で、今でも心に強烈に残っている言葉。
「仕方ないじゃない、頑張るから許してよ。みんないつ何が理由でガツガツ働けなくなるかわかんないよ?」
昨日まで元気で、今日も明日もずっと元気なのにゴリゴリ働けなくなる可能性は誰にでも潜んでいる。「自分は大丈夫」と思っていても、大丈夫じゃないこともある、原因が自分じゃないこともある。寝耳に水、青天の霹靂、なんていうのは、人生のそこかしこに転がっている。
同じ組織の仲間なら足を引っ張り合うのではなくて、支えあったり、手を差し伸べたり、話を聞くことが大切で、今頑張れるのならできるだけ頑張った方がいい。
頑張れなくなった人にありったけの罵詈雑言を浴びせるのではなくてそっと手を差し伸べるか、それができないなら黙ってみておいた方がいい。うまく行っているように見えることでも、一寸先は闇で不幸は明日は我が身に降りかかるかもしれない。
先輩の奥さんのご冥福と共に、遺されたお子さんの健やかな成長を、心よりお祈りいたします。
終わり