一浪して入った四流私大を卒業した後、一年ほど海外をふらふらしていた。
ふらふらし始めて2か月後くらいの話だろうか、村上春樹が書いた『アンダーグラウンド』という地下鉄サリン事件をテーマにしたインタビュー集のような本を読んだ。色々な人にインタビューをして、どのような人生を送ってきたのか、どのような仕事をしているのか、どうして被害にあったのか、なんていうのをインタビューしている。
その本を読んだ私の感想は「なんだ社会人て、思ってるよりも厳しくないな」だった。
これならやってけそうだと思って、仕事をすることに決めた。
嫌になったから転職した人、連休をつなげて休もうとする人、結構いろんな人が働きたくないと思いながら働いているというのが分かったし、「嫌になったらやめればいい」という、単純にして明快な回答にも触れることができて、踏ん切りがついた。
夏に一時帰国して4月入社の内定をさっさと取って、再び海の向こうへ渡った。彼女(後に妻となる人)もできて、毎日が楽しかった。23歳は、思えば、私の人生で見えないけれど大きな決断をしたし、大きな出来事もあったな。
帰国後に入社した会社は3年ちょうどでやめた。