「安全第一」という思想はアメリカで生まれたというのを知っている人は、僕の周りを見渡す限りほとんどいない。
外資系とはいえメーカーに勤めているので、安全に対する教育を何度となく受けている。自分の会社の工場のルールだったりもするし、取引先の工場のルールだったりもする。ねじ曲がった「安全第一」もよく見る。
Wikipedia先生に聞いてみると、
当時、世界有数の規模を誇っていた製鉄会社、USスチールの社長であったエルバート・ヘンリー・ゲーリーは労働者たちの苦しむ姿に心を痛めていた。 熱心なキリスト教徒でもあった彼は人道的見地から、当時の「生産第一、品質第二、安全第三」という会社の経営方針を抜本的に変革し、「安全第一、品質第二、生産第三」としたのである。
ゼネコンもそうだし自動車会社もそうだし、どんな会社でも工事現場とか工場内にはでかでかと「安全第一」とか「安全はすべてに優先する」とか書いちゃってる。一方で、メーカーのサービスには「徹夜してでも直せ!」とか言っちゃったりするし、営業には20時頃に平気で電話をかけてきて「明日の朝までに見積くれ!」とか言っちゃう。
お前らが頼んでる無茶苦茶は安全か?取引先の安全を優先しているのか?結局、自分ちの生産や都合を優先して、標語として「安全第一」を掲げているだけで、メーカーには「生産第一、品質第二、安全第三」を押し付けていないか?
構内のルールを守らせるだけが安全じゃないだろ?メーカーのサービスや営業が職場や家に帰るのだって、安全の一環だろ?心身ともに健康で、これからもずっと取引していける。それだって、きっと、「安全第一」の理念の一つじゃないか?
と、ふと思った。
形骸化された腐った構内ルールや作業ルールを決めているだけで、本質を理解して「安全第一」に取り組んでる奴なんて、誰もいねぇよ。もしも日本人が本気で「安全第一」に取り組んでいれば、まずはブラック企業が淘汰されていくはずだ。
日本は上流にある一部上場企業が平気でこんなことを言っちゃうんで、ブラック企業のスパイラルからはなかなか抜け出せないだろうけどね。
おしまい