ちょっと、俺

ちょっと、俺

日常のちょっとしたこと

ゼメリング鉄道とオーストリア人のおっさんの話

【広告】

大学生の時ヨーロッパへ旅行に行った。

 

貧乏な大学生だったので、その時はデジカメなんて持っていなかった。当時の携帯電話はガラケーで今どきのスマホのような画質の写真は撮れないし、ファイルの互換性も低かったので写真は残っていない。

 クロアチアの首都ザグレブからオーストリアの首都ウィーンまで電車で移動した。一部区間はゼメリング鉄道という世界遺産にもなっている鉄道らしいということを乗ってから知った。

 

一番感動的だったのはスロベニアマリボルに到達したときで、山を越え、森を越え、大きな川を越えたら、いきなり開けて一気に街になったのは本当に感動した記憶がある。

 

キャビンに一人で座っていると、ビジネスマンぽいオーストリア人のおっさんが入ってきた。今でもよく覚えているのは、その時におっさんの食っていたサンドイッチがとてもおいしそうだったことだ。

 

天気がだんだん悪くなってきて、雷とかなり始めて、土砂降りになり始めて、電車は止まってしまった。キャビンの中におっさんと二人である。きっかけは忘れたし、なんだか全然覚えていないけれど、おっさんと二人で話し始めた。

 

「この鉄道は戦略的に非常に重要な鉄道で、~~~~」とか、話し始めた。その時に初めてゼメリング鉄道というのとその鉄道が世界遺産というのを知った。

 

しばらくして電車が動き始めた。おっさんとはなぜか意気投合してしまい、ずっと二人で話していたが、内容は忘れた。終点のウィーンに到着し僕はウィーン空港へ行くという話をしたところ、おっさんが券売機までついてきてくれた。

 

僕の財布の中には100ユーロ札が一枚しか入っていない。JRというか、日本がすごいのは、自動券売機で高額紙幣が当たり前のように使えることだ。ヨーロッパの券売機は高額紙幣なんて使えない。そして、海外に不慣れだった僕はそんなこと知らなかった。

 

カードはどこでも使えるんだけれど、学生なんでカードなんて持っていない。

 

おっさんが一言、「いいよ、切符くらい、俺が買ってやる」

 

僕:「・・・・いや、悪いから両替だけでいいよ」

 

おっさん:「いいんだよ、待ってろ。ほら!」

 

僕:「あ、あ、あ、ありがとう」

 

おっさんは切符を買い、別れの挨拶を言い、いなくなった。

 

おっさんの連絡先はわからないままだし、名前も知らない、何をしているのかも、何もわからない。

 

僕はそれから、日本に来ている外国人には何も言われないでも必ず親切にするようにした。あの日、見ず知らずの日本人である僕におっさんが親切にしてくれたように、僕も見ず知らずの外国人には親切にしている。といっても、大江戸線でどっち方向に乗ろうか迷っている外国人に「こっち」とかいう程度だけれどね。

 

特に、オーストリア人とわかると親切にするようにしている。

 

僕は電車で偶然遭遇した見ず知らずのおっさんのおかげで、異常なほどのオーストリア贔屓である。そして、見ず知らずの日本人である僕が一人でも多くの意味の分からない日本贔屓の人々を作れればいいと思っている。

 

Welcome to Japan, Have nice time here!

 

【広告】